差別的取り扱いとは、有利な扱いも含まれます。

 女性社員に、子が生まれ結婚出産で退職する。今の時代は少子化、女性社員が結婚出産で退職するとなると、2人目、3人目もたくさん子を産んで育ててね、と思うこともあるかもしれません。また、今まで一生懸命働いてくれたのだし、何よりおめでたい結婚出産での退職、これから家庭に納まるのだから、と退職金を男性社員よりたくさん支払って上げたいと思う会社さんもあるかもしれません。

 さて、このように、結婚出産というおめでたい特別な退職事由、しかも自主的退職だからと、男性社員よりたくさん退職金をあげることは、差別的にならないのでしょうか。

 いやいや、労基法の解釈では、こちらは差別的取り扱いと考えられてしまいます。男性社員についても、結婚や配偶者の出産を理由とした自主的退職に退職金を女性社員と同様に割高で支払う制度があるが、その割高にする理由が、結婚出産のために割増するのではなく、男女平等に合理的な理由で割高にする。例えば、在職中の功労について、割増にするのであるならば、可能です。

 だいたい、男性社員が配偶者の出産で退職することは、ほとんどないので、結婚出産の優遇制度を男性社員も対象としても、合理的とはならず、結婚出産以外の事由で退職金を割り増しにすることはOKということになります。

労基法で禁止しているのは、女性であるということ、結婚出産を理由とした不合理な差別をしてはいけないということです。

差別にならない退職金規定をつくっておきましょう。

 退職金の支給をどのようにするかは、就業規則にきめて支給します。就業規則が大事というのは、そのためです。一度、規定した就業規則を変更するのは大変です。退職金の金額と支給事由は、しっかり決めておきましょう。

もし退職金の支給額や事由を変更しようとする場合、社員にとって不利益になる変更は、原則として、個別同意が必要となります。一人一人の社員から同意を得なければならないので、これは大変です。もし同意しない社員がいた場合はどうなるのか・・・。トラブルの発端になるといえるでしょう。

 しかし、個別同意がなくても変更ができる場合があります。それは、変更後の就業規則の内容が、不利益の程度、変更の必要性、内容の相当性、労働者側との交渉状況などについて合理性がある場合です。

 このように判断基準が具体的でないため、よくわからないかもしれませんが、就業規則の不利益変更となる規定が、合理的であるかどうかは、1つ1つのケースによってちがう判断がされますので、一般的には、こういうことで、判断しますということしか言えないのです。

就業規則の整備は、早いうちにしておきましょう。

   就業規則は、一度決めると、変更が大変なのはわかっていただけたでしょうか。なので。早いうちにきちんと整備しておきましょう。

 特に賃金、賞与、退職金の規定は、社員にとって最も重要な労働条件の事項ですので、会社は、慎重に決めなければなりません。モチベーションにもかかわってきます。

 ぜひ、就業規則の作成・変更は、専門家の社会保険労務士に相談してください。当事務所は、一人一人のお客様にあったご相談をしております。

>>就業規則の作成・変更は、専門家に。 
 

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