高度な専門家のための働き方改革

 働き方改革の中の一環で始まった高度プロフェッショナル制度です。労働法では、労働時間をもとに、給与の支払いや働き方を規制しています。しかしオフィスで仕事をするホワイトカラー労働者においては、労働時間で生産性を計ることができないため、外国で採用されているホワイトカラーエグゼンプションという労働時間ではなく、労働の成果に対して報酬を支払うという制度を参考に新しく作られた制度です。

 あくまで参考にして作られているので、ホワイトカラーエグゼンプションと高度プロフェッショナル制度は同じではありません。

高度プロフェッショナル制度の要点

 高度プロフェッショナル制度を一言でいうと、1.働いた時間ではなく、成果で評価する、2.要件を満たし、仕事が専門的かつ高度な能力を持っている労働者が対象であり、3.時間外や休日勤務などの割増賃金の支払い義務が適用されない、制度です。

 しかし、その反面、報酬にみあわない不当な長時間労働の増加が心配され、制度の導入には、法律で、厳しく要件を提示しています。その導入の仕方についてみてみましょう。

制度導入までのフロー

 この制度は、残業ゼロ法案などと批判もされました。そのため、導入には、対象労働者の基準や監督署への届け出なと、厳しく導入要件が法律で定められました。それらを各社で決めるために労使委員会を設置し、対象労働者や対象業務や進め方等を労使委員会で決めます。

労使委員会で決議する事項

労使委員会で決める事項ですが、対象業務、対象労働者の範囲、健康管理時間の把握、休日の確保その他諸々を決議します。

対象業務の決定ですが、高度で専門的な知識・技術を要すること、業務に従事した時間と成果との関連性が高くないこと(使用者から労働時間の指示がないこと)が条件で、具体的には、金融商品の開発業務やコンサルタント業、研究開発業務、取材・編集業務などが法律で挙げられていますので、それに基づいて決議します。

 対象労働者の選定については、対象業務に常態として従事しているもので、使用者と書面による同意が必要なこと、基準年間平均給与額の3倍の額を相当程度上回る水準である年収1075万円以上のものを対象労働者として決議します。(この年収は、おおよそではなく、労働契約や就業規則等で確実に支払われる金額であることとなっています。)

 健康管理時間管理については、タイムカードやPCなどの使用時間で把握するなどどのような方法をとるか、休日確保については、対象労働者に年間104日以上、かつ、4週間を通じ4日以上の休日を与えることなどを決議します。その他必須事項を決議したら、労働基準監督署に届け出ます。

 そして、労働者と実際に書面で合意をして、業務についてもらうことになります。

労働者本人の裁量で働く

 このように、使用者の指示を受けずに、社員本人に業務の遂行を任せて業務を成果でみて、給料を支払うという新しい制度となります。初めての制度なので、会社も導入を考える場合、手さぐりになると思いますが、労使双方でしっかりコミュニケーションをとって、制度導入をしましょう。

>>新しい働き方のご相談は、社労士 橋本事務所へご相談ください。

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