経団連が、労働法制の要望を出しました。
働き方改革が国を挙げて始まりましたが、今回の働き方改革は、労働時間や業務遂行方法などにおいて、労働力の効率化を目指したものでした。第1段階としての改革は、そこからスタートでした。
この度、経団連の方から、内閣府規制改革推進会議に対して、要望が出されました。現在の社会状況・産業構造のあり方などから、労働時間より成果で評価するべき業務が増加しているため、今後は、職務・業務で労働法法制を選択できるようにするべきである、ということです。
通常の労働時間制度の下では、いくら同じ役割や成果でも処遇の不公平が生じるということです。そこで、社員が、短時間で生産性を上げようというマインドにもなるという、裁量労働制の拡大を提案しました。
労働基準法は、戦後まもなく制定されましたが、先に制定された労働組合法、労働関係調整法と合わせて労働三法と呼ばれて、労働法の中核をなしてきました。戦後、貧しい日本は、モノづくりに邁進しました。その結果、高度成長期を迎え、豊かな国へと変化しました。その時代の労働法であるため、今では、産業構造等の変化で、見合わなくなってしまったのです。
職種・業務で労働法を選択できるようにというのは、現在の時代に合っていると思いますが、どのように制度を作り、運営していくかは、大きな問題です。
今回、経団連が内閣府に提示した要望の中から、「働き方改革と人材の育成」という項目の内容を見てみます。
経団連による「働き方の変革と人材の育成」について
経団連は、次の7つのポイントを要望しています。すべての項目が、現在の社会状況や産業構造のために必要な働き方改革かと思われます。
・裁量労働制の対象拡大の早期実現等、労働時間の長短に応じた賃金支払を原則とする現行労働法制の見直し。
・変化の激しい人生百年時代に対応した、産学官連携による「学びと仕事の好循環」の確立。リカレント教育・リスキリング等の推進支援。
・成長分野・産業等への円滑な労働移動に資する環境整備。
・多様性を受容する新しい時代に対応した初等中等・大学教育改革。
・理数系教育の充実・拡充、グリーン人材、グローバル人材の育成強化(邦人の海外留学・・外国人の国内留学支援と海外大学との連携強化)。
・新産業創出に向けた産学官連携の中核となる地方の大学等の機能強化・環境整備。
・ダイバーシティー&インクルージョンの推進。
今後、これらの要望に基づいて、どのような働き方改革がされていくのか目が離せません。現在、モノづくりの時代から産業構造が大きく変わり、さらに、少子高齢化、グローバル化、ITの浸透など、社会情勢の大きな変化の中で、企業は、生き抜いていかなければなりません。どのように日本が産業を発展させていくかは、企業の人材育成にかかっています。
人材をどのように大事にして育成して、働いてもらい幸福になってもらうかを考えるのが、企業の大きな役目です。