賞与で懲戒処分の減額は可能

賞与の時期となりました。社員が不祥事を起こし、懲戒処分で賞与を減額することができるのかどうか、と考えているケースもあるかもしれません。いろいろな会社事情があると思いますが、適正な処分の仕方であれば可能です。

そもそも懲戒処分とは、どんな処分なのでしょうか。懲戒処分とは、会社が就業規則でこんな不祥事を起こしたら、こんな処分をするという内容を、規定したうえで、処分することです。しかし、処分の内容も、就業規則に定めればどんな処分でもできるものではありません。

減額という懲戒処分を就業規則に定めるとき

就業規則に定める懲戒処分の種類や程度は、客観的に合理的、社会通念上相当である必要があります。社会通念上の相当性とは、どんなことをいうのでしょうか。例えば、1回遅刻しただけで懲戒解雇というのは、できないということです。社員の不祥事の内容と懲戒処分の内容が、相当でないといけないわけです。

どのように不祥事の内容と懲戒処分の内容の相当性を判断するかというと、労働法の解釈、慣例や裁判判例から見るのがほとんどです。

では、懲戒処分の1つとして、減額という処分を就業規則に定めた時、いくらでも減額できるのかというと、そういうわけではありません。労働基準法で減給の制裁についての定めがあり、1回の額が1日の平均賃金の半額、総額が賃金総額の10分の1までと定められています。

給与からの減額だけでなく、賞与についても厚労省の通達で、給与と同じ扱いとなっています。

評価による賞与査定の低下は、懲戒処分とは別です。

懲戒処分としての減給の制裁をしたとき、評価制度がある会社は、賞与の評価査定にもその不祥事が及ぶことでしょう。

不祥事によって賞与の評価査定が低くなり、その結果、賞与が減額になったら・・・、評価と懲戒は別なので、2重処罰にはならず、低下した評価による賞与額を支給しても問題ありません。

評価の仕方は、会社によって異なると思いますが、どんな評価をするかという評価項目を整備しておくことは会社を守るために必要です。また、不祥事の内容からして、減給の制裁では、懲戒処分として軽いということであるなら、就業規則に基づき、別の懲戒処分をすることも可能です。

何かが起きた時に、どう処分するかは、前もって就業規則で整備しておかなければ、会社を守れません。

>>懲戒処分規定が、まだ整備されていない会社様、すぐに整備なさってくださいね。

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