兼業・副業を国が勧めています。

 昨年の9月に厚生労働省は兼業・副業のガイドラインを改定しました。国もこの変化にとんだ社会情勢下で、兼業は必要であると考え推進しています。その理由は、所得の増加や人生100年時代の人生設計や労働者がいろいろな経験を積んでスキルアップができるというものです。しかし、デメリットも当然あります。

一番心配になるのは会社の情報漏洩ではないでしょうか。そして社員の健康保護のため労働時間の管理ではないでしょうか。そもそも、兼業というものは社員本人が自由な意思でできるものであるため、会社が規制をかけるものではなく、本人が兼業をするとなると、会社は、労働時間管理を整備しなければなりません。

兼業・副業の労働時間管理のモデルが提示されました。

 兼業・副業を行う場合、労働時間の管理が、会社にとっては複雑になり、負担になる事でしょう。改定された兼業・副業ガイドラインでは、管理モデルを提示しました。こちらの管理モデルを本業の会社と兼業先が守ることで実労働時間の管理が楽になるというものです。実際、本人の申告によることで管理しますが、その申告に虚偽があっても会社の責任にはならないとしています。

労働時間の管理の対象とならない場合もあります。そもそも労基法の適用除外になっている管理監督者や高度プロフェッショナル制度の社員、業務委託による場合などが該当します。

兼業・副業の会社のリスク

 兼業の仕事も種々様々で、正社員を採用できない店舗等では、ダブルワーカーを頼りに、店舗運営をしていくというケースもあるでしょう。ダブルワーカーを使用する場合、会社にとっての一番のリスクは、会社の営業機密情報の漏洩でしょう。このリスクをしっかりヘッジしなければなりません。
 
 特に、事務職や会社経営および営業の機密情報を扱う職務の場合には、誓約書や就業規則の整備も必要ではありますが、誓約だけでは、人間ですから、万が一ということもあり得ます。その辺のヘッジをしっかり各社で考えなくてはなりません。

社員は、多様な経験でスキルアップできるのか

 国は、終身雇用の崩壊や産業構造の変化、人生100年時代に備えて、社員のスキルアップのため、兼業という形でいろいろな業務を経験することを勧めていますが、果たして、それが、業務効率や本人のスキルアップにつながるのでしょうか。

 私の感想ですが、ケースバイケースだと思います。1つのことを突き詰めることで、大きな何かを自身のスキルとして、身に着けられますが、その経験ができない。業務効率のアップができるのはよいのですが、仕事の熟練度を考えた場合、どうなのだろうかと思います。

そのほか、業務委託の場合は、上司という指導者がいないうえ、チームで働く経験を全くできないことになり、人間関係の構築や業務の熟練度も見極められないでしょう。この社会情勢下で、兼業・副業が顕著になってきますが、まずは、会社の情報流失ヘッジや社員の健康対策をしていきましょう。

>>わからないことがございましたら、社労士 橋本事務所までお問い合わせください。

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