労働基準法の施行規則改正
2019年4月より、労働条件通知書の電子化が解禁となりました。労働基準法では、労働条件は明示しなければならないとされており、その方法については、施行規則で、書面交付でしなければならないと規定されていました。
しかし、昨今の電子化事情で、電磁的方法での交付が、認められることとなり、その交付の仕方については、施行規則において一定の規制がされています。
労働条件通知書と雇用契約書の違い
よく聞かれることですが、労働条件通知書と雇用契約書は何が違うのですか?と聞かれます。労働条件通知書と雇用契約書の違いは、一言でいえば、双方の押印があるかないかの違いです。
労働条件通知書も雇用契約書も内容は、同じですので、双方作るのであれば、雇用契約書で合意の印をもらうのがよいでしょう。
ただここで問題なのが、雇用契約書は労働基準法では、作成を義務付けておらず、労働基準法が義務付けているのは、労働条件の明示=労働条件通知書なのです。
なので、書面のタイトルを労働条件通知書件雇用契約書とするのが、よいと思います。
労働条件通知書の電子化のおける規制について
今回の施行規則改正において、規制となる但し書きは、次のように書かれています。
「ただし、当該労働者が同項に規定する事項が明らかとなる次のいずれかの方法によることを希望した場合には、当該方法とすることができる。
一 ファクシミリを利用する送信の方法
二 電子メールその他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる
電気通信(電気通信事業法(略)第2条第1項第1号に規定する電気通信をいう。
以下この号において{電子メール等}という。)の送信の方法(当該労働者が当該電
子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに
限る。)
この施行規則の但し書きの意味は、
1. 労働者が希望したこと 2.その労働者本人を特定して、その本人にだけのネットワークを通じて送信されること 3.労働者が当該電子メール等の記録を紙に印刷できること となります。
本人以外のだれかが、見たり印刷したりできるような場所にアップロードはできないことになります。
法律の文章はわかりにくいものですが、かみ砕くと上記のようになります。
今は電子化の時代です。特に若者にとっては、紙で渡されることのほうが、戸惑うかもしれませんね。給与明細も、役所の文書も、はたまたお金もカード化の時代。変われば変わるものです。
労働条件通知書及び雇用契約書は、内容も何を書くかが法律で決められていますし、労働条件もどのように決めるのかも法律に合わせて決めなければなりません。
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