マスコミの力を借りずに成功したラーメン店
先日、練馬サミットで講演をされた土田氏の本を読んで、うなずくことが多かった。本の編者が、飲食店の取材に携わる者でありながら、土田氏の成長ぶりを知らなかった、つまり、ある意味、マスコミの力を借りないで成長したすごい飲食店であると述べている。
飲食店は、マスコミの力を借りずに店舗拡大する店はない、と言っていいほどだそうだ。
しかし、彼の経営方針は、個性的な発想で、マスコミの力を借りずに集客をしてしまう店づくりをすることである。これだけでも、土田氏のいう「常識を捨てた経営」の1つの形だと思う。
経営者だけあって、勘がいい、行動力がずば抜けている、一人で決断して一人で実行していく、逆境を強みにできるという、経営者としての原動力をもっている。
まじめで勉強家の人ほど商売には不向き
起業を志す者の中には、勉強熱心な人もいるが、知識ばかり詰め込んでも、行動を起こさないのでは意味がない。勉強すればするほど「常識」に縛られ、柔軟性がなくなり、商売には向かないという土田氏の意見は、私も同じである。
これは私のようなコンサル業の者にも言えることだ、勉強ばかりして、知識や実例をいっぱい詰め込んで、これはこういうものだ、これはこうするといいなどと考えて、人事労務についてアドバイスをするのは、間違っていると思っている。
職場は1つ1つ違う、社員の属性も、経営者の個性も、会社ごとに異なるものである。よって、常識に縛られたのでは、いい人事制度、成功を収める人事制度は作れない。
やってみなければわからない。数字ならなおさらである。経営コンサルタント等が打ち出す数字は、あくまで仮の数字であり、実際はやってみないとわからない。私もそう思っている、あくまでも、仮の物差しである。
給料は何があっても下げない人事労務
土田氏の経営者として、社員への唯一の約束は、「給料を下げることはしない」ことである。降格になっても、事故を起こしても、下げない。経営が苦しくなっても、最後の最後まで給料は下げないと。従業員の生活を守るのが経営者であると。
素晴らしい人事労務管理である。コンサルタントとしては、経営者がどうしたいのかを一番に考えてアドバイスするものであるが、このような考えの経営者の下では、会社は必ず大きくなる。
どんな人事制度を作ろうと、どんな労務管理をしようと、型にはまった人事労務、常識の人事労務では、会社は大きくならない。
社長の勘と行動力、諦めないという原動力の下で、社員が安心して、自身の持てる力を発揮して会社や社会に貢献し、自身のスキル・能力をアップさせていくためには、どのような人事労務にして、会社を作りあげていくかが大事である。