社長の妻が報酬をもらっているケース

 中小企業では、夫が社長で妻が役員で、役員報酬をもらっている場合が多いと思います。そこで、重要な注意点があります。万が一、夫が亡くなり、遺族年金の申請をしたが、不支給決定になってしまうケースがあるからです。

 今回は、会社の社長の妻のケースについてのお話です。年金は、老齢年金、障害年金、遺族年金とありますが、それぞれに支給要件があります。年金は、度重なる法改正で、一般の人には、理解できない、納得ができないというケースも多々あるかと思います。

 会社から報酬をもらうと、報酬の多寡を問わず厚生年金に加入することになり、保険料を毎月納付します。この保険料の納付実績が、老齢年金、障害年金、遺族年金の要件に該当したときに年金額の計算の基になります。年金がいくらもらえるかは、保険料の納付実績にかかってくるのです。

 社長の妻が役員として会社から結構な額の報酬を受けている場合、配偶者の社長が亡くなったとき、遺族年金の対象外になるケースも出てくるというお話です。

遺族厚生年金を受けられる要件とは?

 遺族厚生年金は、国民年金の遺族基礎年金とは支給要件が異なります。遺族厚生年金の要件は、死亡した配偶者が社会保険に加入中又は老齢厚生年金の25年以上の受給資格期間を満たしていることなどが前提です。もちろん、保険料を滞納せずに納付していなければなりません。

 遺族厚生年金を受給する妻の要件は、配偶者が死亡した当時その者によって生計を維持した者であり、かつ、厚生労働大臣の定める年額850万以上の収入または年額655万5千円以上の所得を将来にわたって有することを認められるもの以外のものであることとされています。この収入または所得要件が、ひっかかると遺族厚生年金がもらえなくなるのです。

妻の生計維持要件について

生計維持されていると認められるのには、次の4つの要件のいずれかに該当することされています。①前年の収入が年額850万円未満であること(前年の収入が確定しない場合には、前々年の収入)②前年の所得が年額655.5万円未満であること(前年の所得が確定しない場合には、前々年の所得)③一時的な所得があるときは、これを除いた後、前記①またh②に該当すること④前記①②③に該当しないが、定年退職等の事情により近い将来(概ね5年以内)、収入が年額850万円未満又は所得が年額655.5万円未満となると認められること、としています。

社長の奥さんの報酬について

 以上のように、社長の奥さんに報酬を支払っている場合、万が一、配偶者である社長が亡くなったら、奥さんの生活が脅かされる可能性があります。奥さんが名目上の役員等で社長と同等に会社を経営しいけない場合、遺族厚生年金が必要になりますので、そのことを考えて、対処しましょう。

   >>人事労務のことでしたら、社労士 橋本事務所へご相談ください。

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